受取配当等の益金不算入とは|国内配当・外国子会社配当と外資系企業の配当政策への影響

法人税務

はじめに

受取配当等の益金不算入は、法人が他の法人から受け取る配当について、一定割合を法人税の課税所得から除外する制度です。外資系企業の日本子会社がグループ内の別の日本法人から配当を受け取る場面のほか、日本法人が外国子会社から配当を受け取る場面においても、受け取った側の課税関係を理解しておく必要があります。

この記事では、内国法人間の配当に適用される益金不算入制度と、外国子会社から受け取る配当への適用という2つの制度を取り上げます。なお、日本子会社から外国親会社へ配当を支払う際に生じる日本側の源泉税については、別記事「外資系企業の配当源泉税」をご参照ください。

受取配当等の益金不算入とは

ある法人が利益を稼いで法人税を支払い、残った利益を配当として分配したとします。その配当を受け取った法人に対して再び法人税を課すと、同一の利益に対して二重に課税される結果になります。この経済的二重課税を排除するために設けられたのが、受取配当等の益金不算入制度(法人税法23条)です。

すべての配当が全額非課税になるわけではなく、受け取った法人の持株比率に応じて、益金不算入となる割合が異なります。

株式の区分と益金不算入割合

持株比率に応じて、対象株式は以下の4区分に分類されます。各区分の判定は、配当基準日時点の持株比率に加え、所定の保有期間の要件を満たしていることが前提です。

区分持株比率益金不算入割合
完全子法人株式等100%100%
関連法人株式等1/3超100%(負債利子を控除)
その他の株式等5%超 1/3以下50%
非支配目的株式等5%以下20%

完全子法人株式等および関連法人株式等については、持株比率の要件に加え、継続保有の要件を満たす必要があります。具体的には、1回前の配当の基準日の翌日から当該配当の基準日までの期間、継続して保有していることが求められます。関連法人株式等については、この期間が6か月を超える場合には、当該配当の基準日前6か月間が判定期間となります。

外資系企業の実務上、日本法人が別の日本法人を完全子会社(100%)または1/3超の持分で保有するケースが典型的です。その場合、受け取る配当は原則として全額(または負債利子控除後の全額)が益金不算入となります。

一方、ポートフォリオ投資的な少数株主として配当を受け取る場合(5%超1/3以下または5%以下)は、受取配当の一部が課税所得に算入される点に注意が必要です。

負債利子控除(関連法人株式等の場合)

関連法人株式等に該当する株式から受け取る配当は100%益金不算入ですが、その株式の取得に対応する負債利子に相当する金額を控除する必要があります。

令和2年度税制改正(令和4年4月1日以後開始事業年度から適用)により、控除額の計算方法は簡素化されました。現在の原則的な計算方法では、受取配当額の4%を負債利子控除額とします。ただし、負債利子控除額は事業年度の支払利子合計額の10%が上限となります。つまり、原則的には受取配当額の96%(=100%-4%)が益金不算入となりますが、支払利子合計額の10%が受取配当額の4%を下回る場合には、支払利子合計額の10%を控除した金額が益金不算入となります。

外国子会社から受け取る配当の取り扱い

内国法人が外国子会社から受け取る配当については、外国子会社配当益金不算入制度(法人税法23条の2)が適用されます。

外国子会社とは、内国法人が持株比率25%以上を配当の支払義務が確定する日以前6か月以上継続保有している外国法人をいいます。ただし、日本が締結した租税条約の二重課税排除条項において25%未満の持株比率が定められている場合には、その条約上の割合以上であれば外国子会社と判定されます。

条約上の持株比率主な国
10%以上アメリカ、オランダ、オーストラリア、
カザフスタン、ブラジル
15%以上フランス

この要件を満たす外国子会社からの配当については、受取配当の95%が益金不算入となります。残りの5%は、配当受領に伴う費用相当額として益金に算入されます。

外国子会社が日本法人に配当を支払う際に現地で源泉税が課される国もありますが、この外国源泉税は損金算入が認められず、外国税額控除の対象にもなりません。外国税額控除については、別記事「外国税額控除とは」をご参照ください。

外資系企業の配当政策への影響

源泉徴収の要否

通常、日本法人が他の日本法人に配当を支払う場合には所得税を源泉徴収する必要がありますが、完全子法人株式等および関連法人株式等に該当する配当については源泉徴収の対象外です。一方、その他の株式等(5%超1/3以下)および非支配目的株式等(5%以下)については通常通り源泉徴収を行う必要があります。

M&A取得直後の配当と継続保有要件

完全子法人株式等・関連法人株式等・外国子会社のいずれについても、継続保有の要件が設けられています。M&Aにより株式を取得した直後に対象会社が配当を行う場合、要件を充足せず益金不算入が適用できないケースがあります。以下で解説する子会社株式簿価減額特例と合わせ、M&Aのクロージングスケジュールと対象会社の配当計画を事前に確認しておくことが重要です。

子会社株式簿価減額特例

子会社から受け取る配当の全部または一部が益金不算入となる一方、配当により価値が下落した子会社株式を譲渡して損失を計上するという二重の租税利益が生じることを防ぐため、子会社株式簿価減額特例が設けられています。10年超の支配関係があるなどの一定の場合を除き、子会社株式の帳簿価額の10%を超える配当を受け取る場合に、子会社株式の税務上の帳簿価額が一定額減額されるという特例です。この特例により直ちに課税が生ずるわけではありませんが、将来子会社株式を売却する際や清算する際の譲渡益が大きくなる(または譲渡損が小さくなる)こととなり、結果として将来の課税額が増えてしまうため、特例の適用が生じないよう配当政策を調整することが推奨されます。詳細については別記事で解説します。

まとめ

受取配当等の益金不算入制度のポイントをまとめます。

  • 完全子法人株式等(100%保有)は受取配当の全額が益金不算入、関連法人株式等(1/3超保有)は原則配当の96%が益金不算入となります。なお、これら2区分への配当は源泉徴収不要です。
  • 外国子会社(原則:持株25%以上・6か月以上保有)からの配当は95%が益金不算入です。外国源泉税は損金算入・外国税額控除の対象にならない点に留意が必要です。
  • 完全子法人株式等・関連法人株式等・外国子会社のいずれにも継続保有要件があり、M&A直後の配当では益金不算入が適用できない場合があります。また、子会社株式の帳簿価額の10%を超える配当を受け取る場合は子会社株式簿価減額特例の適用にも注意が必要です。

配当に関連する論点として、内部留保が多い法人に課される留保金課税や、外国親会社へ配当を送金する際の配当源泉税についても合わせてご参照ください。

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